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運動で肌は若返るのか?

時間が無い方へのまとめ

  • 運動は効果的かつお手頃なスキンケア。運動不足は肌を老化させるが、運動によって肌を若返らせることもできる
今日から始める対策:
  • 外出時の歩幅を10cm広げるイメージで歩いてみる。
  • ”いつもより早歩き”を意識して歩く
より確実に効果を得たいなら:
  • 1度に30分の有酸素性運動(自転車やジョギングなど、少しキツい〜キツいと感じる程度の負荷)や筋トレを週2回以上行う

より詳細な説明を知りたい方

皮膚の構造と加齢による変化

肌は複数の層が重なり合って構成されています。我々が鏡で見て、実際に触れる部分は表皮の最も外気に近い部分で角質層と呼ばれ、肌のバリア機能を担っています(下図)。表皮の下にある真皮は、線維とその間を埋める基質成分によって構成されています。線維の大半はコラーゲン(膠原線維)で、残りがエラスチン(弾力線維)です。線維は真皮内を網の目のように走ることで、肌のハリは弾力を生み出しています。

しかし、加齢に伴い角質層が分厚くなり、真皮は薄くなってきます。皮膚で観察される”シワ”は真皮のコラーゲンやエラスチンが加齢や紫外線によって破壊され、弾力を失い、なかなか元に戻ることができない状態です。

臨床試験によるエビデンス

運動が肌を若返らせるとするエビデンスを発表したのは、カナダのCraneらです。

まず、彼らは観察研究として若年者と高齢者を比較しました。その際に、それぞれの被験者の活動量も評価しました。

その結果、若年者と比較して高齢者の皮膚の角質は分厚く、真皮は薄くなっていました(皮膚の加齢状態)。しかし、被験者を活動量で分類したところ、週に3時間以上の運動を実施していた40歳以上の被験者の角質は薄くまた真皮は厚みがあり、ほぼ20〜30歳代の被験者の皮膚の状態と変わらないことが示されました。

さらに、Craneらは、日頃運動していない高齢者に対して、週2回の有酸素性運動(中強度程度の自転車運動あるいはジョギングを30分)実施してもらい、トレーニング前後における皮膚の状態をチェックしました。

その結果、トレーニングを開始してから12週間後には皮膚の状態が改善し、角質層が薄く真皮が厚くなり、さらに真皮のコラーゲン量も増加していました。たった3ヶ月で高齢者の皮膚がほぼ若年者のレベルに若返ったのです。

なぜ運動によって肌が若返るのか?

運動実施による肌の改善効果のメカニズムははっきりとしていませんが、1つの要因は運動に伴い筋肉から分泌されるマイオカインです。

マイオカインは筋肉から生成・分泌されるたんぱく質であり、血液で全身に運ばれることで様々な臓器に作用することで、運動による健康改善への効果(心疾患、糖尿病、癌や痴呆症など)を引き起こす要因と考えられています。筋肉は300以上のマイオカインを分泌することが明らかとなっています。

その中でも特に興味深いのがIL-15と呼ばれるマイオカインです。IL-15は運動によって筋肉の中で生成されそれが血液によって循環し皮膚に到達することで、皮膚の代謝を活性化させるということがCraneらによって報告されました。IL-15が皮膚細胞のミトコンドリアを活性化させミトコンドリア数を増加することが皮膚の代謝活性に繋がっていると推測されます。

ちなみにCraneらの研究では有酸素性運動を用いていましたが、このIL-15の生成に関与する筋肉内のシグナルタンパク質であるAMPKは筋トレでも活性化されます。よって有酸素運動だけでなく筋トレもこのIL-15の分泌や肌の代謝活性を促進する可能性が考えられます。

美肌を保つためにも、運動は必須です。もちろん、ジョギングやウォーキングなど外で運動される場合は紫外線対策をお忘れ無く。

 

引用文献:

Crane JD, MacNeil LG, Lally JS, Ford RJ, Bujak AL, Brar IK, Kemp BE, Raha S, Steinberg GR, Tarnopolsky MA. Exercise-stimulated interleukin-15 is controlled by AMPK and regulates skin metabolism and aging. Aging Cell. Aug;14(4):625-34, 2015

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