小皿で食べ過ぎを防ごう
食べ過ぎ・飲み過ぎは生活習慣病の根源。
でも年末年始は忘年会や新年会など外食する機会が増える時期でもあります。
皆さんは食べ過ぎないように、どんなことに気をつけていますか?
先ずは以下のクイズにお答え下さい:
Q1:あなたは「今日の飲み会では食べ過ぎないように注意しよう!」、と心に決めています。もし居酒屋で食べ物をオーダーする際に、それぞれのメニューにカロリーの表示があれば、きっと意識的に摂取カロリーを減らすことができるはず。
選択肢 ○ / ×
Q2:飲み会で大盛りの焼きそばが出てきました。できたてのホカホカ、とても美味しそうです。グループ内で取り皿に分け合って食べる際に、幾つかの異なるサイズの取り皿があります。あ、でも取り皿が小さくても、おかわりすれば結局食べる量は変わらないから、大きなお皿でいいか。
選択肢 ○ / ×
正解は。。
Q1, Q2共に×です。
今回のPOINT!
Q1:メニューにそれぞれの商品の写真にカロリーが並記されていたとしても、意識的な摂取カロリーの減少には繋がりません。
Q2:食べ過ぎを避けたい場合はできるだけ小皿で、また飲み過ぎを避けるためには(選択できるのであれば)グラスも小さめの物を選びましょう。
ここからはより詳細を知りたい方のみ閲覧下さい
カロリー表示は賢いメニュー選択には繋がらない
最近ファミリーレストランを含め外食チェーン店ではメニューの横にカロリー表示が掲載されていることがあります。あるいはその飲食店のホームページに栄養素の詳細が記載されていることもあります。
マクドナルドもホームページに栄養成分表が公開されています。
これを見ると、”あっ、ビックマックはカロリー高いな〜”とか、ビックマックとMサイズのポテトで1,000kcal近くになるな、とか気づきます。これが目に付けば、特にダイエットを意識している人においては、賢い選択に繋がると思いませんか?
残念ながら、これまで過去に実施されたカロリー表示に関する72の研究をメタ解析(統計的手法を用いて、類似している関連研究の結果の評価を統合し要約する統計的な手法)した結果、メニューに書いてあるカロリー表示のみではメニュー選択の決定要因にはならない、つまりカロリー表示があったとしても最終的に摂取する食事の量は変わらないことが報告されました。
例えばマクドナルドに行ってビックマックが530キロカロリー(kcal)と言う表示があるとします。他のハンバーガーと比べてカロリーが高いことが分かったとしても、それだけでは最終的に選択する食べ物のチョイスにはあまり影響しません。
推奨カロリーが表示されていればカロリー表示が参考になる
しかし、「1日の推奨カロリー」が同時に提示されていた場合は食べ物のカロリー表示も有効であるということが示されています。例えばビックマックとMサイズのポテトとコカコーラのセットを頼むと1,094kcalになります。
活動的な中高年女性の場合1日に摂取すべき”推定エネルギー必要量”は2,000〜2,300kcalです。
もし、この情報を念頭においた上で、メニューを見た場合、このセットだけで1日に摂取すべきカロリーの半分近くを摂取してしまうことになります。
こういった「追加」の情報がある場合は、個人のメニュー選択が変化します。
(例えば、代わりにカロリーの低いチーズバーガーにしたり、セットメニューではなくハンバーガーを単品で注文するなど)
あるいは単にカロリー表示をするだけでなく、摂取カロリーを例えば運動時間に換算する(カロリー値ではなくよりなじみの深い概念で提示する)とどれくらいの運動量かを表示すると摂取カロリーに影響する重要な情報であることが示されています。
例えばマックシェイクは210kcalですが、50kg体重の女性の場合は、20分歩いて消費するカロリーは(たったの)約60kcalです。
つまりデザートでマックシェイクを飲んだ分だけ運動するには、なんと1時間以上のウォーキングをしなければいけません!
こういった”自分の必要量・消費量に対する相対的・具体的な数値の情報”がメニューに追加されれていると、より健康的なメニュー選択に繋がるのです。
ただ、一般のレストランでは、メニューのカロリー表示があったとしても、他の指標で分かりやすく情報を提示しているお店は少ないのではないでしょうか。
取り皿の大きさで食べる量を調節できる
では外食する際にはどうすれば食事の摂取量を無理なく抑えることができるのでしょうか?
当たり前と思われるかもしれませんが、メニュー自体も頼む際にはできるだけ小さなポーションサイズを選ぶ(大盛り焼きそばではなく、通常サイズ、など)を選ぶことが重要です。
「それって結局何度もおかわりしたら同じでしょ?」と思われるかもしれませんが。。
実は2014年にSinclairらが発表した17の研究に対するシステマチックレビュー(特定の課題に対する過去の研究データを統合・分析する研究手法)の結果では、提供される食事の量や取り皿のサイズが大きければ大きいほど、満腹感を感じるまでに摂取する食事量も増加することが示されています。
これは食物だけでなく飲料にも当てはまります。つまりグラスのサイズが大きいと、結果的に「もう十分」と感じるまでの摂取量が小さなグラスで飲む際と比較して多くなるのです。
外食で食べ過ぎ・飲み過ぎを避けるために、取り皿やグラスはできるだけ小さな物を選びましょう。
参考文献:
- Hollands, G.J., I. Shemilt, et al.: Portion, package or tableware size for changing selection and consumption of food, alcohol and tobacco. Cochrane Database Syst Rev, (9): p. Cd011045, 2015.
- Sinclair, S.E., M. Cooper, et al.: The influence of menu labeling on calories selected or consumed: a systematic review and meta-analysis. J Acad Nutr Diet, 114(9): p. 1375-1388.e15, 2014.
- 「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf(2017年12月17日)
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