1. HOME
  2. ブログ
  3. ブログ
  4. 筋トレとタンパク質摂取を組み合わせるべき本当の理由

筋トレとタンパク質摂取を組み合わせるべき本当の理由

食生活におけるタンパク質の摂取が筋量の維持に重要である事は以前もご紹介しました。今回はなぜ、筋トレによって筋肥大を目指す人にとっても、食生活におけるタンパク質摂取が重要なのかを説明したいと思います。

 

筋肥大には筋トレが必須です。筋肉を構成するタンパク質の摂取は筋量維持には重要ですが、どれだけ大量のタンパク質を摂取しても、栄養摂取のみでは健康な成人(注1)の筋肉量を積極的に増加することはできません。

ではなぜ筋トレとタンパク質摂取の組み合わせが大事なのか、まず結論から述べると、「筋トレはタンパク質摂取による筋肉の合成作用をより高める」からです。

 

筋トレの実施に伴いタンパク質の合成が増加することや、長期的な筋トレが筋肥大を引き起こす現象のみが一般的に注目されがちです。しかし、筋トレと同様に、あるいはそれ以上に適切な量のタンパク質を食事で摂取することが筋トレによる筋肥大には欠かせないのです。

1回の筋トレを実施すると、24時間におけるタンパク質の出納バランス(注2)がよりプラスの方向にシフトします(図1)

 

つまり筋トレによってタンパク質の合成速度が増加するだけでなく、食事摂取に伴うタンパク質やアミノ酸に対する筋肉の感受性が向上することで、食後の筋肉合成がより顕著に増加するのです。

 

筋トレ後のタンパク質摂取のタイミングと筋肉の合成

日頃から筋トレを実践している方で、特に効率的に筋肥大させたいと思っている場合、ホエイプロテインなどの市販のサプリメントを運動後に摂取されている方も多いのではないでしょうか。

タンパク質(ホエイプロテイン)摂取のタイミングに関しての研究結果では、運動実施の直後のタンパク質摂取が最も筋肉合成への相乗効果が高く、運動実施から時間が経過すると相乗効果は低下していくことが示されています(図2)。

この理由から、一般的に筋トレ直後のタンパク摂取が勧められており、運動直後に食事摂取が難しい場合でも、気軽にタンパク質を摂取できるホエイプロテインなどのサプリメントも有用であると言えます。

 

しかしもっと重要な事実が一般に知られていません。実は1回の筋トレ実施から24時間後にタンパク質を摂取した際の筋肉の合成速度は、運動しないでタンパク質を摂取した場合の筋肉の合成速度と比較して、より高くなることが報告されています。

つまり、1回の筋トレによる相乗効果は24時間後も有効であり、例えば早朝に筋トレしたら、その日の昼食や晩ご飯を含め、筋合成への相乗効果を得るチャンスが複数回あるのです。

 

どんなに頑張って筋トレしても、筋トレ後のプロテイン摂取にばかり気を取られて、朝食欠食したりタンパク質の不足した食事を食べ続けると、長期的な筋トレの効果は期待できません。

レジスタンス運動による筋タンパク質の同化作用を最大限に引き出すためには、筋トレ直後のタンパク質摂取を意識しながらも、朝・昼・晩の食事に含まれるタンパク質の量を常に意識すべきです。

 

_______________

(注1)多量のタンパク質の摂取は筋肉の合成を一時的に増加しますが、タンパク質の出納バランスを24時間で評価すると、栄養摂取による合成作用が落ち着いた後の空腹時の出納バランスは通常よりマイナスに傾きます。つまり、必要量以上のタンパク質を摂取したとしても、結果的に24時間の出納バランスはプラスマイナスがゼロの状態に補正されます(健康な成人の場合)。

いわゆるホメオスタシスが筋肉のタンパク質代謝にも働いているのです(筋トレは唯一このホメオスタシスに影響する要因です)

しかし、日常的に栄養不足で出納バランスがマイナスにシフトしている場合は、積極的なタンパク質摂取のみでも筋量の低下をある程度予防することは可能です。病気などで寝たきりになった状態などがこれに相当します。

(注2)筋肉を構成する出納バランスについての詳しい内容は以前のブログ記事「筋肉の量はどのように調節されているのか?」をご覧下さい。

 

参考文献:

  1. Churchward-Venne, T.A., et al., Nutritional regulation of muscle protein synthesis with resistance exercise: strategies to enhance anabolism. Nutr Metab (Lond), 2012. 9(1): p. 40.
  2. Burd, N.A., et al., Enhanced amino acid sensitivity of myofibrillar protein synthesis persists for up to 24 h after resistance exercise in young men. J Nutr, 2011. 141(4): p. 568-73.
  3. Phillips, S.M., et al., Protein Turnover and Metabolism in the Elderly Intensive Care Unit Patient. Nutr Clin Pract, 2017. 32(1_suppl): p. 112s-120s.

 

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事